失われたものを取り戻すために
市ヶ谷、防衛省ーー
自席で考え事を続ける浮島。
昨晩、庁舎の屋上から都内を一望するも⋯⋯
察知していものは、すでにその気配を完全に消していた。
「昨晩の出来事は⋯⋯どうやら、東京タワーから池袋方向に向かって⋯⋯何かが飛来して行った様子だな。ちょっと、突いてみるか」
浮島はそう言うと⋯⋯どこかへ電話をかけ始めた。
「もしも、ご無沙汰しております。防衛省の浮島です。そちらはどうです?面白い男がいたから今度紹介したい?そうですね、顔合わせくらい、一度はしておきましょう。ところで⋯⋯」
どうやら⋯⋯
電話をかけた先は警視庁の様子だった。
「そちらからロシア大使館の連絡役(の諜報員)を突いてみて欲しいです。昨晩、スペツナズの⋯⋯恐らく、超能力部隊の気配を感じたんです。手のうちはあまり晒したくありませんが、少し牽制しておいた方いいと思います」
浮島はそう相手に伝えると受話器を置いた。
「さて、あとは様子見だな。こちらも下手に動けまい」
しかし、浮島のこの判断と行動は⋯⋯間違ったものではなかったが、後に大きな事態へと動き出すきっかけとなる。
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クレムリン、大統領府ーー
「同志ウラジーミル。裏切り者たちは⋯⋯どうやら、こちら側の世界、日本で活動を再開した模様です」
「今現在、スペツナズは日本で展開していない⋯⋯日本の当局には感謝しかないな。わざわざ、知らせてくれてありがたい。とりあえず、そのまま監視を続けろ。私(の頭)に対する当て擦りは⋯⋯断じて許さない。根に持つわ」
「かしこまりました」
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更梨は思わぬ打診、提案を受けていた。
公安部への配属だ。
そこで海外のオカルト諜報活動の監視、情報収集活動を行うものだった。更梨をスカウトした警察官僚はただ者ではなかったのだ。
「私の前職は内調でね。そこで心霊現象や超能力の実在性を知った。今、この日本は⋯⋯海外の敵性勢力による霊障が引き起こされているんだ。どうだ、今回の一件は私の方でどうにか善処しよう。公安部に来なさい」
更梨は迷うことなくうなずいた。タルパ戦争で辛辣な思いをさせられた記憶が蘇りつつも、失われた何を取り戻すための決断をした。
つづく