霊道学会
ネバダ州レイチェル、エリア51――
格納庫内で輪っかのような形態をした大きな機械が設置されていた。スターゲイトと呼ばれる装置、システムだ⋯⋯
「システムオールグリーン! 間もなくあちら側の世界と接続されます!」
スターゲイトを操作するオペレータがそう叫ぶ⋯⋯
すると、スターゲイトは⋯⋯水面が光を乱反射するように輝き始め、人影のようなものが映し出されると、中から抜け出るように男が一人現れた。
男の名はトゥルパブロ・グアンティナ博士⋯⋯
ガトー公国の首都ウィルクスにある大学の学長だ。そして、スターゲイト・システムのあちら側の運用責任者となる。
「グアンティナ博士、ご無沙汰しております」
博士を出迎えたのは⋯⋯
こちら側、エリア51のスターゲイト・システム運用責任者であるリチャード・ボイラン博士だった。
「お久しぶりです。ボイラン博士も元気そうで何よりです」
この後、エリア51内でスターゲイトを研究する学者らが一堂に会し、学会のようなものが開かれる予定だ。
そう⋯⋯
霊道を科学的に開閉する方法も確立されていたのだ。
ガトー公国と米軍との交流は、目下のところ、スターゲイトを介する形で行われていた。
しばらくすると、スターゲイトの中からもう一人の男が現れた。
「これはすごい的! 私のかみさん失業する的!」
もう一人のこの男の名はヘソ・ライト博士⋯⋯グアンティナ博士と同じ大学で教鞭を取る学者だった。霊道士であるトットフォーの旦那でもある。
「おお! 本日はヘソ博士までお越しになりましたか!」
これに感激するボイラン博士⋯⋯
そのまま三人は学会が執り行われる大会議室まで移動した。
従来の霊道は、少人数の人、小型の乗り物を行き来させるので限界だが⋯⋯スターゲイトなら大規模な異次元間輸送が可能となっていた。
このため、将来的には⋯⋯
霊道士は失業、スターゲイトがその役目を担いそうになる見通しだった。
しかし、霊道士は片側の世界から霊道を開閉できるが、スターゲイトは両方に設定されていなければ繋ぐことができないと言う欠点があった。
「片側から開閉できるようになれば大革命的!」
つづく